叢書・ウニベルシタス
廃墟のなかの大学

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  • サイズ B6判/ページ数 326,/高さ 20cm
  • 商品コード 9784588006616
  • NDC分類 377
  • Cコード C1337

出版社内容情報

〈エクセレンス〉を競う現代の大学は,国民文化の砦としてはとうに廃墟と化している。そのなかで迫られる改革を論じて〈不同意の共同体〉としての再生を展望する。

内容説明

国民国家が衰退へ向う現代、国民文化の牙城だった大学はいまや廃墟と化し、世界的に“エクセレンス”を競い消費者主義に席巻されている。古典的理念へのノスタルジアや不毛な管理・経営主義を超える論理、不同意の共同体としての再生を提起して、国際的な論議を呼んだ書。

目次

第1章 序論
第2章 エクセレンスの概念
第3章 国民国家の衰退
第4章 理性の範囲内の大学
第5章 大学と、文化の理念
第6章 文芸文化
第7章 文化闘争とカルチュラル・スタディーズ
第8章 ポスト歴史的大学
第9章 研究の時節―1968年
第10章 教育の現場
第11章 廃墟に住んで
第12章 不同位の共同体

著者等紹介

レディングズ,ビル[Readings,Bill]
1960年イギリス生まれ。ミルトンに関する博士論文によりオックスフォード大学で学位取得。以後、スイスのジュネーヴ大学、アメリカのシラキュース大学を経て、カナダのモントリオール大学の比較文学担当助教授となる。ド・マンやリオタールに関する著作・論文で文学理論・現代思想の研究者として認められ、また本書にまとめられた大学の理念と機能を鋭く問い直す諸論文が欧米で反響を呼び、激しい論議を巻き起こすなど注目されていたが、1994年10月アメリカン・イーグル機の墜落事故で不慮の死を遂げた。本書のほかに、『リオタール入門』(1991)、『時代を超えたポストモダニズム』(共著,1993)『ヴィジョンとテクステュアリティ』(同,1995)などの著書がある

斎藤信平[サイトウシンペイ]
福島県生まれ。90年成城大学大学院博士後期課程中退。現在、山梨英和短期大学英語コミュニケーション学科助教授。英文学専攻。著書『ベケット大全』(共著,白水社)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

∃.狂茶党

15
エクセレンス。この言葉が多用される。 哲学や現代思想を、ふんだんに駆使して、大学の現状と今後を語ってる。(たぶん) 二十世紀末の本なので、SNSなども出てこないが、ここで述べられてる議論は、今でも有効だと思われる。 (大学に縁がないのでよくわからない。) 『文学部唯野教授』の上級編。 2025/07/04

うえ

10
著者は60年英国生まれ。94年10月米イーグル機4184便墜落事故で逝去。「大学は、機能するにあたって文化という壮大な物語をもはや必要としなくなったという点で、決して近代的ではなくなっている。エクセレンスの官僚機関としての大学は、イデオロギーとして統合されるさまざまなイディオムを必要としなくても、内部的には、たぶんに多様性を持つことができる。それらの統一性は、もはやイデオロギーの問題ではなく、拡大された市場内部における交換価値の問題なのだ」2018/06/11

くにお

1
アルチュセール曰く大学は国民国家イデオロギーの再生産装置である。しかし新自由主義化、「アメリカ化」が著しい昨今の世界では、大学はもはやそのような機能も持たない。大学が忠誠を誓うのは国家ではなく、企業なのだ、とビル・レディングスは指摘する。 大学は経済的なことばで語られるようになり、「エクセレンス」という何の指示対象も持たない概念に訴えるようになった。もはや大学には何の理念ももたない機関となった。しかしこのように、大学が何のイデオロギーも持ち得ない今この状況を逆に利用するべきだとレディングスは言う。 こ2011/03/15

抹茶ケーキ

0
近代的な大学制度は元々国家ないし文化に、その後は企業に従属してきた。しかしこれらの従属先はもはや無意味になっている。つまり大学制度は成立を根拠を欠き「廃墟」の中に立つものになっている。その中では、大学制度が無批判に正当化されていた時代のノスタルジーを捨て、どのような義務を果たすべきであるのかをバフチン的な対話の場で新たに構築していく必要がある。みたいな話。少し古いけど、大学制度関連の議論では一番面白かった。2017/12/22

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