出版社内容情報
探偵小説は近代の文化そのものだ。謎と疑い,手がかりと捜査のエクリチュールの問題性と可能性を論じ,その深層に現代的な〈オイディプス神話〉の構造を透視する。
内容説明
メグレやポアロのユートピアへ―探偵小説の社会学。文学かゲームか、多義的な世界を解読。ポー以来1世紀半の歴史を有する探偵小説は、近代人の「存在の不確定性」を土壌とするモダンの文化である。謎と疑い、手がかりと捜査のエクリチュールの問題性と可能性、またその深層に潜む現代的な「オイディプス神話」を透視する、注目の文化記号論的・文学制度論的考察。
目次
第1部 歴史の統一性(ジャンルの誕生;裁判小説対芸術小説;近代的なるもの(ル・モデルヌ)の出現 ほか)
第2部 形式の二面性(登場人物のシステム;コードとの戯れ;疑いのエクリチュール ほか)
第3部 三つのユートピアと一つのコンプレックス(ルールタビーユのユートピア;メグレのユートピア;ジャプリゾにおけるユートピア ほか)