出版社内容情報
「私は宗教的人間ではない。しかし私は如何なる問題をも宗教的観点から見ないわけにはゆかない」という哲学者ウィトゲンシュタインの精神生活の核心部を読み解く。
内容説明
「私は宗教的人間ではない。しかし私はいかなる問題をも宗教的観点から見ないわけにはいかない」―ウィトゲンシュタインの精神生活の核心部に確かな位置を占めるこの「言葉」の意味を徹底的に究明し、彼の哲学的思索に果たした「宗教」の役割の総点検を図る。
目次
1 宗教的人間?
2 説明を探し求めること
3 言語の本質
4 基底にあるメカニズム
5 説明になっていない説明
6 説明の限界
7 四つの類比
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
うえ
6
マルカムの未完成の書物。友人の哲学者であるウィンチが批評的論文を載せ今の形に。ウィトゲンシュタインの「私はいかなる問題も宗教的観点から見ないわけにはいかない」という言葉を手がかりに探求を進める。「彼にとって、真剣な宗教的感情というものの決定的な側面は、生活の変更、生き方の改善、他人への助力の強調である。この立場には、ユダヤ教とキリスト教の経典の両方に、強力の裏打ちがある」「「それは神の意志である」という言葉の機能は、困難に直面したときに…最終的な説明を与えるというものではなく、そもそも説明ではない」2016/10/16
脳疣沼
1
ウィトゲンシュタインの私的な日記を読んでいると、かなり宗教色が強いことに驚く。ウィトゲンシュタインほどの哲学に命を懸けて取り組んだ人が、キリスト教をどう受容したのかがとても興味深い。宗教なんて馬鹿にして相手にしない人が現代には多いが、哲学的な思考プロセスを踏んでも、宗教にアクセスできるということが分かる。2017/05/14