出版社内容情報
社会主義は21世紀への展開・発展に向けて「近代」のなかに横たわる諸難題をどう解決して行くのか,その思想的可能性を検証する。東欧体制変動前に書かれた論考。
内容説明
思想史から文化批評へ。社会主義は21世紀への展開・発展のために「近代」のなかの諸難題をどう解決して行けるか、その思想的可能性を検証する。
目次
第1章 世紀末社会主義
第2章 思想史研究は言語論的転回をすべきか
第3章 階層秩序と人文諸学
第4章 言い換えを讃えて万歳二唱を
第5章 ヴィーコと西欧マルクス主義
第6章 大衆文化と芸術による救済
第7章 グールドナーのために
第8章 『分裂に抗して』のうちにある分裂
第9章 ハーバーマスとモダニズム
第10章 ハーバーマスとポスト・モダニズム
第11章 ブルーメンベルクとモダニズム
第12章 しめくくりとしての非歴史的あとがき
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
小鳥遊 和
4
『「社会正義」はいつも正しい』のロア氏レビューで「被差別アイデンティティは『正義』と批判力を与える」との正義派主張が引用されているのを見て、昔読んだ本に「そういう考えは古い」と書いてあったと思い出した。原著1988年、訳書97年(世紀末)刊。著者は米国人でフランクフルト学派つまり「批判理論」の研究者。1章で「もはや、過去に犠牲者だったというだけの理由で、より優れた未来に達する特権をもつとはみなせない。特定の階級や国家を世界史の先導者と見る進歩主義的言説の全てが疑問だ」と書く。同国の学問は退歩しているのか。2025/04/09