出版社内容情報
占領下のパリを彷徨し,己の出自への激しい否定の感情と共に歴史の黄昏を生の根本感情として内面化し,「形而上の流謫者」,「世界市民」としての新たな出発を記す。
内容説明
1940‐45年、占領下のパリ、故国と訣別した孤独な異邦人の青春彷徨記―未曾有の出来事の中で、己の出自への激しい否定の感情と共に文明の凋落と歴史の黄昏を生の根本感情として内面化し、「形而上の流謫者」「世界市民」としての新たな出発を告げる転位の書。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
双海(ふたみ)
8
1940年から45年、占領下のパリ、故国ルーマニアと訣別した孤独な異邦人の青春彷徨記。己の出自への激しい否定の感情と共に文明の凋落と歴史の黄昏を生の根本感情として内面化していく…。2025/03/08
白義
8
形而上学的な凋落、デカダンスを歌い上げる情熱的幻滅の書。ありとあらゆる根や郷土から引き剥がされ、また自らを引き離し背徳の亡命を徹底することによって、聖性に到達しようとする業火のような断章の集まり。シオランというとメランコリーや絶望、世界嫌悪にまで高まった否定的感受性なんかが特徴としてあげられるけど、初期の著作である本作では青春の激情や法悦、裏返しの神秘主義の色合いが強い。世界享受の基底にまで決まりまくった彷徨のスタイルがカッコいい。音楽好きなのはずっと昔から一貫しているのね2012/08/25
ろびん
3
宗教に対する話が面白い。2020/02/16
しーぽん
2
叢書ウニベルシタスなのでもっと実存主義的な何かが根底にあるのかと期待しながら読んだものの、肩すかし感がすごいです。シオランって実はその時代にたまたまもてはやされたおもちゃにすぎないんじゃないかと思えてきます。そう思うと、最もかわいそうなのはシオラン自身なわけで、皮肉にも厭世思想に至るのも当たり前ですね。そんな考えは本人にはないんでしょうけど。2012/02/21
抹茶ケーキ
0
断章形式の本。よくわかんなかったのでかっこいいなと思った文章を。「存在しないもののために苦しむことのできる動物、これが人間である」(p. 106)。「感覚が快楽と言うとき、魂は虚無と言う」(p. 133)。2015/12/27