出版社内容情報
現世と〈地獄〉を自在に往来する作品によって,人間世界を凝視した無類のリアリストの生涯と思想を描く。ピューリッツァー賞受賞作。
内容説明
偽装のレトリック、ダーティ・ワークの論理を展開し、「地獄行きを避けるには、地獄への道を熟知することだ」と喝破するマキアヴェッリ。フィレンツェの書記官・外交使節にして政治哲学者・軍事理論家・歴史家・劇作家・詩人という、多面的な相貌を浮き彫りにする。
目次
新しい君主、そして他の罪深き人々
人間的事象についての真理
新君主の鑑
である、あるいは、であるように見えること
地獄の改造
よい仲間
そして、偉大さが彼らの褒賞であるだろう
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
てれまこし
10
どうやらマキアヴェッリは反教権主義者ではない。彼の信心を疑う者はおらず、追放後も教皇から仕事をもらったりしてる。他のルネサンスの革新者と同じく、彼もまた中世と近代世界の過渡期の思想家であったらしい。帝国、フランス、スペイン等の強国の侵略を防ぐ中部イタリアの統一を実現する新君主の登場を望み、古典から得られた世俗的知識を駆使して、道徳的ではない政治行為をも正当化しようとした。彼の試みは失敗するけど、その近代的な側面のみが後の注目を集めて、反キリスト教的な犯罪者あるいは科学的政治学の祖と見なされるようになった。2023/11/04