出版社内容情報
現世と〈地獄〉を自在に往来する作品によって,人間世界を凝視した無類のリアリストの生涯と思想を描く。ピューリッツァー賞受賞作。
内容説明
マキアヴェッリは、政治的・軍事的著作以外の戯曲・詩歌などではよく「地獄」や「悪魔」を取り上げ、現世と彼岸との間を往来する自在な思考によって、人間世界を透視する卓越したリアリズムを形成した。生涯と思想を細密画のように描く。1990年度ピューリッツァー賞伝記部門受賞。
目次
不信心で活動的で
神の友とマキアヴェッリの友
天使軍
悪の道
聖職者と祖国
愛の奴隷
事柄すべての模イント
人間は統治能力をもつか?
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
てれまこし
9
マキャヴェリはかつて自分にとって英雄にいちばん近い存在で、歴史的には裏付けのないいろんなイメージを読み込んでた。だが、こんな伝記を繙いてみると、皮肉な笑みを湛えた悪魔的思想家は、敵にさえ道徳や信仰心について疑問を持たれたことのない、むしろ良識人らしい。古典教育を受けて共和国の書記官の職を得る典型的なヒューマニストの経歴だが、外交・軍事専門家として自分を見ていた。自由を政治の究極目的とする共和主義の伝統や運命の女神に関する解釈は自分が講義してきたものとほぼ一致してたからセーフだが、英雄化と理解は相容れない。2023/10/27