出版社内容情報
フッサール現象学を啓蒙的合理性の極限形態と位置づける徹底した内在的批判により,失われた啓蒙の希望の可能性を問う。『否定弁証法』の理論的前提となる問題作。
内容説明
フッサール現象学の批判。認識論は首尾一貫すればするほど行きづまり、物神と化した精神は自らの敵となる。現象学のアポリアを批判的に考察する一方、弁証法的唯物論の国家宗教化を逸早く排したアドルノは、認識論の自己解体を透視して、反省と媒介の概念を梃子に新たな唯物論の可能性を模索する。
目次
第1章 論理絶対主義への批評
第2章 スペチエスと志向
第3章 認識論の諸概念の弁証法について
第4章 本質と純粋自我