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出版社内容情報
人間の地球への寄生的濫用の関係を正当化してきた旧来の社会契約説を排し,両者の共生関係にもとづく新たな〈自然契約〉の締結を提唱する。自然の権利宣言の書。
内容説明
地球規模にまで肥大化した人類が生き残るためには、人間と地球が対等の〈自然契約〉を結ばなければならない。人間の自然への寄生的濫用の関係を正当化してきた旧来の社会契約説を排し、人間と地球との共生関係にもとづく新たな〈自然契約〉の締結を提唱する。
目次
戦争、平和
自然契約
科学、法律
絆・大団円
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
内島菫
37
高校生の頃、母がヒステリックになったとき、今は無理だけれどいつか私は母の母にならなければならない、と思ったことを、本書の最終章を読んで思い出す。(受験)勉強もそのためのものだと考えていた。山や海での危険と背中合わせの状況と、初心者が創作をするときとは、どちらも常に周囲の自然あるいは表現手段との間に緊張感が保たれているという意味でアナロジカルである。そういった場面で死(創作場面では内的衝動の死)は、「あなたを優れた行動へと絶え間なく押しやる。それは申し分のない完璧な訓練である。 2018/01/19
ひばりん
11
社会契約をエコロジーのレベルにまで拡張すべきことを語る(ありがちな)内容に終始するかと思いきや…終章「絆、大団円」が絶品だ。というのも、それまで定義もなく自明に使用されていた「契約」の概念が、ここで「綱(契約の語源)」に読み替えられ、世界史がひとつの美しい帆船の物語に書き換えられるのだ。船=世界はひとつの結び目。ゆるい綱は位相幾何だが、ピンと貼られれば情報を伝えるヴァイオリンの弦になる。海軍に属し、数学を究め、音楽を愛したセールにしか書くことのできないポエジーがキラキラと輝く。2021/10/12
Ex libris 毒餃子
9
ネオ高等遊民の哲学本で触れられていた人だったので代表作を読んでみました。自然契約ってなんのことかなぁって思ったら社会契約の拡張概念でした。ずいぶん、ポエムっぽい文章で結構、面食らった。2024/09/05
S.Mori
9
哲学者が環境問題を論じた貴重な一冊。この社会を存続させるために、人間は自然と契約を結ばなければならないという著者の主張には説得力があります。哲学書は抽象的な事柄が多く書かれて読みにくいことがありますが、本書は異なっています。イメージ豊かな文体を使って書かれており、読者は絶えず地球全体が置かれている状況を生き生きと具体的に思い浮かべながらページをめくることができます。本書の白眉は最終章です。ここで著者は綱というありふれた言葉に多くの意味を持たせて、人間と自然のつながりを問い直していきます。2019/05/30
roughfractus02
6
大洪水で肥沃な土地をもたらす神との契約、自然に寄生し一方的利益に走る人間を法と政治で制御する社会契約。2つの契約はコードとコード破りのゲームを生み戦争を世界化させる。コードとは契約における神の法と人間の法の両者に跨る法的用語だ。ラ・フォンテーヌの寓話「人間と蛇」を通して創世記の嫌われ者蛇に語らせ、戦う男たちが足元の泥に埋没する未来をゴヤの絵に見る本書は、オギュスタン・ベルクに「シャーマニズムへの退行」と批判された。が、自然の意味を解体する著者は、意味とコードで直線を進む歴史を「大団円」にかけて循環させる。2024/09/04
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