出版社内容情報
キャプテン・クックの神格化とその死のミステリーを軸に,フィジーやマオリの白人接触時代における外来王について論じたサーリンズ独自の構造主義的歴史人類学。
内容説明
クック船長の神格化とその死のミステリーを軸に、フィジーやマオリの白人接触時代について、外来王について、ポリネシアの島々を舞台に展開する、構造主義的歴史人類学。
目次
第1章 クック航海記補遺、または野生の算術
第2章 時が変われば倣いも変わる―歴史の人類学
第3章 外来王、またはフィジーのデュメジル
第4章 ジェームズ・クック船長、あるいは死にゆく神
第5章 構造と歴史
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
鵐窟庵
4
本書の問いとして、歴史と構造を統合する歴史人類学の構築である。歴史と構造とは構造人類学では本来的には対立するものであるとされて、社会の秩序の二つの類型において、《遂行的秩序》-ランダムな状況に同化/《規定的秩序》-状況そのものを同化する、歴史のあり方が異なったり、歴史自体が一つの構造ではなくて常に変化する複数の構造を持ったりと、動的なものと静的なものとして対峙していた。しかし、ハワイの社会をみた時に、必ずしもそのよう対立は存在せず、本書はクック船長の死や白人との接触を通じて、歴史人類学を具体的に描き出す。2019/01/26
★★★★★
3
ハワイにおけるクック殺害をめぐる構造主義的考察。構造の変化に焦点を絞ることで、構造と歴史の二項対立を止揚する試みのようです。しかし難解すぎて前半はほとんど意味不明。後半はかろうじて面白かった。いずれにしろ、現地の人びとは解釈されるだけって点は問題視してしかるべきなのかしら。そのうち再読します。オベーセーカラの批判も読んでみたいなぁ。2011/02/17