出版社内容情報
第一次大戦前のマルクス主義の古典時代,ドイツ社民党の運動と内外の諸論争を背景に,その解放的・人道的マルクス主義の形成と意義を追究,革命家の全体像に迫る。
内容説明
エンゲルス以後、マルクス主義理論の構築及び大衆化の面で最大級の業績を残しながら、左右双方の批判を受け、今なお多くの誤解に包まれているカウツキー。大戦と2つの革命、ドイツ社民党内外の諸論争を背景に、その解放的・人道的マルクス主義を追究、革命家の実像に迫る。
目次
プラハとウィーン 1854―1879年
遍歴の10年間 1880―1890年
右派からの挑戦 1890―1904年
左派からの挑戦 1905―1914年
第1次世界大戦と2つの革命 1914―1924年
ウィーンへの帰郷 1924―1938年
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Rotes Meer
1
カール・カウツキーは、マルクス主義の思想史の中で占めるその圧倒的重要性にも関わらず、顧みられることがあまりにも少なく、またあまりにも理不尽で不当な攻撃に晒されてきた人物である。ダーウィン的マルクス主義、主体的モメントを無視した決定論、ロシア革命を批判した背教者……カウツキーに押し付けられたこれらのレッテルは、彼の思想を特徴づける上で明らかに適切とは言えない。著者は、カウツキーの人道主義的倫理的側面と楽観主義に注目している。レーニンは、彼とは真逆の性向の持ち主だった。2020/11/14