出版社内容情報
文化記号論の立場から,社会が意味 = 象徴体系によって構築されていることを実証的に解明し,実践.効用説にもとづく西欧思想の伝統的パラダイムを根底から覆す。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
roughfractus02
7
人類学者に根付く合理的な人間という考えと客観性を担保する理性主義を、マルクス主義の生産手段と生産関係に潜む合理的経済人という概念と構造主義的アプローチに見出す著者は、経済人類学の立場から、人類学者が属する社会でも合理的経済人概念は成立せず、自らも含む研究姿勢を客観的理性から実践理性にシフトすべきである、と主張した。本書はマリノフスキに始まる人類学研究の前提である諸概念をプラクシス領域に移す試みである。著者は人間の活動を物質的制約を超えようと意味や象徴を生み出す文化の形成過程として記号論的に捉えようとする。2024/03/25