出版社内容情報
核の恐怖・自然破壊等,未曾有の危機に直面して現代人の魂はいかに生きるべきか。主著『人間』で展開した《人間=欠陥=超動物》論をふまえ真摯に問う実践的指標。
感想・レビュー
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内島菫
5
ゲーレンは現代産業文明を「かの狩猟文明から農業文明への先史時代における《新石器時代革命》にも比すべき大変革期」と捉え、「現代人=原始人」という「驚くべき等式」を立てる。しかし、「原始人」が狩猟文明の危機である食人風習を克服したトーテミスムにあたるものが「現代人」にはなく、しかも現代文明を「晩期文明」とする。つまり、「現代人」は終わりから始めなければならず、しかもその終わりはいまだに続き、終わりなき終わりを終わり続けているようにも見える。それを紛らすために、虚構化、偽物化、微分化を進化(深化/新化)と呼ぶ。2015/04/30