出版社内容情報
『生成』につづき哲学の新たな対象を模索する〈脱構築〉の試み。合理化,殺し合い,権力闘争等からの離脱をはかり,未知の異郷や不死の世界へと旅立つ流浪の物語。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
roughfractus02
4
陸地に立って目で固定した世界を分割する論理から離れ、海辺に「遠出」して流動する世界を感じる論理にシフトするための書き方を、著者は複数の意味を示唆する寓話形式に見出したようだ。本書は、観念や概念でなく生き生きした印象を語る「遠出」の話(「農民」)、波と潮風に包まれる身体の語り(「船乗り」)、一枚の絵を巡って始点/終点、目的に分割されない世界の人類学的考察(「彷徨者」)、ディオゲネスをモデルに世界をモノとして切り取る思考をネットワークの中に置き直す知の試み(「フランチェスコの徒」)の4つの寓話が収録される。2024/08/30