内容説明
中国周辺に位置した朝鮮半島諸国や日本では、文字・典籍を受容するに際し、そこに記された漢字・漢文を自国語のシステムに置き換えて読解する方法が構築されていった。その痕跡は、典籍類や木簡などに墨書されたもののみならず、近年日韓において研究の進展を見せる角筆資料にも残り、異言語受容の実態をいまに伝えている。角筆資料の発見により明らかになりつつある朝鮮半島における漢文訓読のあり方やその日本への影響の可能性、漢字・漢文受容によってもたらされた各国の言語文化における言語的・思想的展開について、日韓の最先端の研究者を集め論究、東アジアにおける漢字・漢文理解の方法と思想を探る。
目次
第1部 東アジア漢字・漢文文化圏と訓読(日韓の漢文訓読(釈読)の歴史―その言語観と世界観
日本の訓点・訓読の源と古代韓国語との関係
韓国の借字表記法の発達と日本の訓点の起源について
日本所在の八・九世紀の『華厳経』とその注釈書の加点(再考)
日本における十世紀加点の漢籍訓点資料の位置 ほか)
第2部 韓国における漢文訓読の展開と諸相(韓国の口訣資料および口訣研究の現況について 附 研究文献目録;朝鮮吏文の形成と吏読―口訣の起源を模索しながら;木簡に見られる古代韓国語表記法―吏読の発達史を中心に;百済の文字生活;韓国釈読口訣に関する綜合的考察 ほか)
著者等紹介
藤本幸夫[フジモトユキオ]
1941年生まれ。富山大学名誉教授、麗澤大学・京都大学客員教授。専門は朝鮮語学、文献学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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