内容説明
古典を読む技法と愉しみを徹底解説。中国の作家たちは儒教倫理とつきあいながら人間の真実を表現してきた。フェティッシュな表現に男の愛を託した陶淵明の「閑情賦」、愛する女との別れを語った元〓の「鴬鴬伝」、女性のすさまじい性欲を描いた柳宗元の「河間伝」など…。古来、解釈が定まらない古典作品を、「規範からの逸脱、規範への回帰」という創作手法を鍵として再解釈。その真の主題、作家としての姿勢・戦術を解き明かす。
目次
序章 『詩経』大序のおそるべき力―規範からの逸脱と規範への回帰
第1章 曹植「酒賦」―乱れる酒宴の喜び
第2章 陶淵明「閑情賦」―あなたの靴になって素足を包みたい
第3章 杜甫「数陪李梓州泛江有女楽在諸舫戯為艶曲二首贈李」「冬狩行」―妓女や狩猟に夢中にならず、天下の平安にこそご尽力を
第4章 白居易「長恨歌」「李夫人」の「恨」―万能の皇帝も美女に出逢ったら愛の虜に
第5章 元〓「鴬鴬伝」―めくるめく愛の喜び、だがこの女とは別れねばならない
第6章 柳宗元「河間伝」―女性のすさまじい性欲
附録 作品分析の基本用語
著者等紹介
下定雅弘[シモサダマサヒロ]
岡山大学名誉教授。文学博士。日本杜甫学会会長。六朝及び唐代の詩人、陶淵明・杜甫・白楽天・柳宗元等を専門とする(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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