内容説明
自然環境と人間社会及び文化との関わりをとらえた文学全般を指す“環境文学”。日本・中国・韓国・ベトナムなどの「漢字文化圏」において、文学は「環境」をどう捉えてきたのか。文献資料のみならず、音声、身体、芸能、絵画や造型の諸資料も対象にし、とりわけ四季の形象や隠喩表現をはじめ、食文化の食材や料理、動植物の生態やキャラクター化等々、絵巻や画巻、本草図譜、屏風絵、掛幅絵等の絵画表象、あわせて口頭伝承や身体芸、フィールドワークをも含んだ、広範にわたる相互の比較検証を行う。日本と東アジアの“環境文学”の問題群を総合的・体系的にとらえ、自然と人間の二項対比でなく、「二次的自然」の人工的自然をも対象に、前近代から近代への架橋をも意識しつつ、カノン化された所謂「文学作品」主体の既存の文学史や文化史を書き換え、再編成する。多彩な領域と様々な方法論から成り立つ四十一の論考により、環境と人間の営みとの関係を問い直す。
目次
序論 “環境文学”論の道程―“環境・景観文学”への視座
1 四季・気象と景観
2 災害と怪異
3 動植物の交感と食文化
4 異文化と環境
5 環境文学を問う
著者等紹介
小峯和明[コミネカズアキ]
1947年生まれ。中国人民大学・高端外国専家、立教大学名誉教授。専門は日本古典文学、東アジアの比較説話(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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