内容説明
古来、人びとの隣にはつねに「書物」があった。その魅惑的なモノは、時に人びとの蒐集欲を掻き立て、さまざまな人間ドラマを描きだした。蔵書票や蔵書印、書き入れは書物に残された人びとの欲望の痕跡である。ことに書物文化が早くから花開いたイギリスにおいては、書物に魅せられた先人たちの驚くべきエピソードに事欠くことがない。エリザベス1世の魔術師と畏敬されたジョン・ディー、英国書物史の異端児ジェームズ・オーチャード・ハリウェル、書誌学探偵グレアム・ポラード、喜劇王チャールズ・チャップリンなど、16世紀から20世紀に至る英国で、書物とりわけ古書に取り憑かれた人物19人をピックアップ。数々の人びとの手を経て伝えられてきた著者所蔵の貴重な書物を紐解きながら、人と書物のひとかたならぬ愛の物語を読み解く出版文化史。貴重な図版を100点以上掲載!
目次
女王陛下の魔術師、ジョン・ディー旧蔵のハーディング『年代記』
古英語学者のパイオニア、ローレンス・ノウェル
好古家でケンブリッジ大学への篤志家ロバート・ヘア
忘れ去られた収集家ジョン・モリス
国王を立腹させた学者ピーター・ヘイリンの場合
先祖の家紋を精査した好古家ウォルター・チェトウィンド
愛する母校から追放されたトマス・ベイカー
リーズの名士ラルフ・ソアズビー
モーリス・ジョンソンのスポールディング紳士協会
「正直者トム」・マーティンの正体
遅咲きの好古家 ジョージ・バラード
コレッジの学長を驚かせた若者 ジョン・ラヴディ
ケンブリッジ大学副総長でシェイクスピア学者だったリチャード・ファーマー:折丁記号Bの前にPを―フィリップ・ブリスの場合
書物史のジキルとハイド―ジェームズ・オーチャード・ハリウェル
二兎を追って二兎を得たジェフリー・ケインズ卿
フローレンスとチャーリー・チャップリンの知られざる過去
書籍商兼書誌学者グレアム・ポラード
ケンブリッジで愛された書誌学者で怪奇小説家A.N.L.マンビー
愛書家よ永遠なれ
著者等紹介
高宮利行[タカミヤトシユキ]
1944年生まれ、慶應義塾大学経済学部及び文学部英文科卒業、同博士課程修了、ケンブリッジ大学英文学部博士課程修了。慶應義塾大学文学部助手、助教授、教授を経て名誉教授。2017年ケンブリッジ大学サンダーズ記念書誌学講座リーダー、シェフィールド大学・グラスゴー大学名誉文学博士、ロンドン好古家協会フェロー、日本中世英語英文学会会長、日本英文学会理事、初期書物学会理事、新チョーサー学会理事、国際アーサー王学会日本支部会長などを歴任。Poetica編集主幹。専門は中世英文学、アーサー王伝説、書物史、書誌学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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tekka
志村真幸
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