内容説明
ひらがな・カタカナ・漢字・ローマ字等、世界的にも珍しい多文字種環境を有する日本語。古来、日本人にとって「文字」は、意思疎通のための情報ツールであると同時に、彼我の文化に架橋するための媒体であった。古代から現代までを視野に「書く」「読む」「学ぶ」「残す」という文字の諸機能に着目し、日本語における「文字論」の豊穣な世界を示す初めての一冊。
目次
第1部 言葉をどう書くか(日本語の表記システムとその特徴―日本語の言語学的文字論として;近・現代小説の片仮名の用法一斑―村上春樹『海辺のカフカ』を中心に;古代中国語における漢字の表語現象の諸相;平安時代の真仮名)
第2部 文献をどう読むか(訓点研究「超」入門;篆隷万象名義における漢文節の意味注記について;図書寮本『類聚名義抄』における掲出語と注文の対応について;辞書と文献の比較に基づく定訓論の再検討―キリシタン版『落葉集』と『ぎやどぺかどる』を中心として;明治期における基本漢字文献の諸相)
第3部 文字をどう学ぶか(『文選』の学習―訓点資料を通して見えてきたこと;学びの系譜とその豊饒―江戸寺子屋教科書往来物資料を中心に;変体仮名を学ぶ小学生;米国陸海軍日本語学校の漢字教材“Kanji Book”)
第4部 文化をどう残すか(京都の「天橋立」を表す日本製漢字の展開と背景―「〓」「〓」を中心に;「蝦夷記」のアイヌ語申渡文における仮名の用法;JIS仮名とUnicode仮名をめぐるいくつかの問題;漢字字体研究と日本古辞書データベースの構築)
著者等紹介
加藤重広[カトウシゲヒロ]
1964年生まれ。北海道大学文学研究院教授(言語科学研究室)。専門は日本語学・言語学
岡墻裕剛[オカガキヒロタカ]
1980年生まれ。神戸女子大学文学部日本語日本文学科准教授。専門は日本語学(表記・漢字)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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