内容説明
十九世紀中頃に浙江省で生まれ、「京劇に次ぐ第二の劇種」と称されるようになった「越劇」。なぜ女性が男性役を演じる女性演劇が生まれたのか。そこでは何がテーマとされたのか。女優たちは男性俳優から何を学び、学ぶことをやめたのか。また、観客たちは何を求めたのか。越劇の形成・展開に重要な役割を果たしてきた環境や人々をジェンダーの視点から考察し、時代や社会のニーズに応じてスタイルを変え続ける越劇の姿を、一人の女性の成長史として読み直すユニークかつ意欲的な試み。
目次
序章 越劇とはなにものか?
第一章 男たちの越劇―浙江省の遺伝子
第二章 少女の越劇(一)―男たちが生み育てた卵たち
第三章 少女の越劇(二)―男芸から女芸へ
第四章 姉妹の越劇(一)―時代性の獲得
第五章 姉妹の越劇(二)―観客の獲得
第六章 父の越劇―社会的地位の獲得
第七章 母の越劇―浙江小百花越劇団・茅威涛・楊小青
第八章 女たちの越劇
終章 越劇は自分をどうみたか
著者等紹介
中山文[ナカヤマフミ]
博士(文学)、大阪外国語大学中国語学科・同大学院修士課程修了。神戸学院大学人文学部・人間文化学研究科教授。北京大学・復旦大学訪問教授。日本ジェンダー学会理事、日本現代中国学会・ジェンダー史学会・中国女性史研究会・中国文芸研究会、日本ペンクラブ会員。専門は中国文学・演劇。おもに中国演劇におけるジェンダー表象の研究、喩栄軍作品の翻訳。近年は演劇教育、ジェンロントロジーにおける演劇の可能性に取り組む(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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