内容説明
近代以前の中国において、「書」は文学や絵画と並ぶ最高の芸術とみなされていた。文字をつかさどることは世界の統治と同等の意味を有し、この根源的な政治性とあいまって、文字や言葉を記す「書」は中国文化における重要な地位を占めるに至った。書論のみならず文字学、言語哲学、文学論、画論など文字や書くことに関する諸種のテクストを相互に接続、交差させることで、「文字を書くこと」に関する思想―書字思想の体系を明らかにする。近代以降に形成された造形芸術としての片面的な評価を改め、「書字」という人間の普遍的な営みから「書」の意義を捉えかえす意欲作。
目次
序論
第1章 言葉・文字・書(文字と権力;声の文化と文字の文化 ほか)
第2章 文の起源(“文”の概念体系;殷代甲骨文・金文にみえる“文” ほか)
第3章 文と書の芸術化(芸術と理論;文と詩 ほか)
第4章 風骨の美学(美学概念としての「風骨」;魏晋南北朝から唐末までの「風骨」の用例 ほか)
第5章 文・書・面の存在論的統合―劉〓・張懐〓・張彦遠(劉〓の文論;張懐〓の書論 ほか)
著者等紹介
亀澤孝幸[カメザワタカユキ]
1978年、愛知県生まれ。立命館大学文学部文学科英米文学専攻卒業。大東文化大学大学院文学研究科書道学専攻博士課程前後期課程修了。博士(書道学)。大東文化大学文学部中国文学科助教などを経て、立正大学文学部文学科日本語日本文学専攻コース特任講師、大東文化大学文学部中国文学科非常勤講師、同大学書道研究所兼任研究員、人文科学研究所兼任研究員。専門は中国書道史・書論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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