内容説明
中国伝統芸能の今・未来を探る!お面が一瞬で入れ替わる「変面」で知られる、中国四川省を代表する伝統劇・川劇。2006年に中国の非物質文化遺産(無形文化財)に登録された川劇は、政治や社会とどのようにかかわり展開・変容してきたのか。現代における役割・意義とは何か。作品のテーマ性や芸術性の比較検討、商業公演のもたらす経済効果、教授・学習の実体、時代に翻弄された役者たちの苦悩など、多角的に分析。中国文化遺産「変面」継承者である著者が、経済・政治・教育の文脈において文化資源化されている川劇の動態を、実体験を交えつつ文献調査やフィールドワークを用いて論じた貴重な成果。詳細な歴史的展開を概説した「付録 四川省と川劇の歴史」を付す。
目次
序章(川劇と社会変化;川劇と文化資源 ほか)
第1章 経済的文化資源としての川劇―「四川省成都市川劇研究院」と「結義楼」を例に(商業公演による川劇の文化資源化;二一世紀新式「結義楼」の誕生 ほか)
第2章 政治的文化資源としての川劇―四川省成都市川劇研究院『塵埃落定』を例に(研究背景と概況;川劇演目の政治化 ほか)
第3章 教育的文化資源としての川劇―教育現場からの考察(川劇教育の歴史―科班から四川省芸術職業学院へ;四川省成都市川劇研究院 ほか)
終章(本研究の要約と意義;今後の課題と展望)
付録 四川省と川劇の歴史
著者等紹介
江玉[コウギョク]
1989年、四川省生まれ。四川省芸術職業学院出身。2010年、日本に留学。2021年、神戸学院大学人間文化学研究科博士課程終了。現在、四川旅行学院講師、日本中華文学芸術家連合会理事。中国四川省に伝わる伝統劇・川劇の特殊技法の第一級国家秘密「変面」継承者。専門は文化資源学・中国演劇学・川劇学。2011年、神戸市長賞受賞。2016年、龍谷賞奨励賞受賞(2015年度)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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