内容説明
五つの王朝が交代を繰り返した華北、十の王国によって分割された江南―「五代十国」の時代は、中国史上にしばしばあらわれる「乱世」「分裂割拠」のくりかえしとして、いわゆる「唐宋変革期」における取るに足りない過渡期と見なされてきた。しかし、我々は宋王朝を正統とするために打ち出されたこの「五代十国」の概念にとらわれ過ぎてしまっていたのではないか?同時期の各政権・各地方を仔細に検討してみると、新時代に対応しようとする各々の模索のあり方が浮かびあがってくる。従来「乱」や「離」としてばかり取り上げられてきた五代十国それぞれの「治」を先入観無く見つめることで、十世紀前後を跨ぐ中国史の大きな展開を明らかにする。
目次
1 五代(後梁―「賢女」の諜報網;燕・趙両政権と仏教・道教;後唐・後晋―沙陀突厥系王朝のはじまり;契丹国(遼)―華北王朝か、東ユーラシア帝国か
後漢と北漢―冊封される皇帝へ
急造された「都城」開封―後周の太祖郭威・世宗柴栄とその時代
宋太祖朝―「六代目」王朝の君主)
2 十国(「正統王朝」としての南唐;留学僧と仏教事業から見た末期呉越;王〓政権およびその統治下の〓西北地方豪族;楚の「経済発展」再考;正統の追及―前後蜀の建国への道;南漢―「宦官王国」の実像;「十国」としての北部ベトナム;定難軍節度使から西夏へ―唐宋変革期のタングー卜)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
よっち
28
五王朝が交代を繰り返した華北、十王国に分割された江南の五代十国時代。同時期の各政権・各地方を仔細に検討して、新時代に対応しようとする各々の模索を明らかにする一冊。後梁の朱全忠の妻・張婦人の情報網、沙陀突厥系王朝の後唐・後晋、五代十国時期の契丹国、冊封された後漢と北漢、後周の急造された都城・開封。正統王朝としての南唐、楚の経済発展再考、前後蜀の建国への道、宦官王国南漢の実像、荊南節度使高氏の苦悩、十国としての北部ベトナム、定難節度から西夏へなど、各国の事情に踏み込んだなかなか興味深いアプローチの一冊でした。2024/02/19
さとうしん
15
ドラマ『太平年』の副読本になればと思って手を出したが、充分その期待に応えてくれた。山根論文では後梁で意外な活躍をした妻妾たちについて論じ、森部論文では耶律堯骨と母后との関係について、藤本論文では「文治主義」を導入したとされる趙匡胤に対する後世の視点からの「認識」について、謝金魚コラムは趙匡胤の説話について、榎本論文では仏教国とされる呉越の虚実、高津コラムでは唐五代の印刷術について、猪原論文では「宦官王国」とされる南漢の実像を「多様性の小帝国」とし、伊藤論文では西夏を「拓跋国家」の継承者と位置づける。2026/02/12
Teo
1
読み応えがあった。何しろ専門分野ではない、高校時代の知識に若干積み重ねがある程度なので研究者による五代十国の各国をピックアップして掘り下げて五代十国全体を見直すと言う内容だと得る物が非常に大きい。繰り返すが専門ではないので今回始めて沙陀族系王朝と言う分類を知った。他にも収穫は大きい。2024/03/19
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