出版社内容情報
中国王朝が自らの領域の全体を明示すべく、各地域の歴史とデータを集積し作り上げた総合的書物「一統志」。
元・明・清において編まれたこれらの書籍は、東アジア諸国や欧州へも伝播し、近代の地誌・歴史編纂にも影響を与えるものであった。
近代的領域認識の萌芽を体現するこれらの編纂物は、いかなる時代状況において作られたものであったのか。
編纂前史から、王朝三代にわたり編纂されたそれぞれの「一統志」のあり方、周辺諸国や後代に与えた影響をも考察し、「一統志の時代」を浮かび上がらせる。
内容説明
中国王朝が自らの領域の全体を明示すべく、各地域の歴史とデータを集積し作り上げた総合的書物「一統志」。元・明・清において編まれたこれらの書籍は、東アジア諸国や欧州へも伝播し、近代の地誌・歴史編纂にも影響を与えるものであった。近代的領域認識の萌芽を体現するこれらの編纂物は、いかなる時代状況において作られたものであったのか。編纂前史から、王朝三代にわたり編纂されたそれぞれの「一統志」のあり方、周辺諸国や後代に与えた影響を考察し、「一統志の時代」を浮かび上がらせる。
目次
1 一統志以前
2 大元一統志
3 大明一統志
4 大清一統志
5 東アジアの一統志
6 一統志のかなた
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
志村真幸
1
中国の歴史上には、国家をあげてつくった大部の地理書が存在する。「大元一統志」「大明一統志」「大清一統志」がそれで、日本や朝鮮、ベトナムにも影響を与えたことが明らかになりつつある。 本書は、24篇の論文とコラムで、一統志とその広がりを展望しようとしたもの。 さまざまなディテールの研究により、一統志がどのように編纂されてきたかがよく理解できる。また、「津軽一統志」といった日本の地誌への影響関係、一統志が朝鮮へ熱心に輸入されたことなども、地理的な世界認識の広がりという点で興味深い。2021/12/04