内容説明
社会の基盤をなす〈知〉は、いかに形成され、浸透していったのか―。近世日本における出版文化の隆盛、そして文書による行政・経済システムの発展は、都鄙・身分を問わず、それぞれの社会的環境のもとで〈知〉の形成・蓄積をうながした。村落においては、当地における先例、行政や生活に関わる文書、そして書籍からの抜き書きなどを実務的な目的に併せて集成した編纂物が広く作成され、地域固有の〈知〉の源泉としてさまざまな場に応じて活用された。地域で受け継がれるアーカイブズを「蔵書文化」という観点から読み解き、近世社会特有の〈知〉の構造を描き出す。
目次
序章
第一章 名主の村運営と編纂事業―編纂意図の変遷と特質
第二章 訴願〈知〉の再構築と編纂事業
第三章 地域の課題解決と編纂物―地域史の共有と郡中一和
第四章 地域情報の共有と編纂物文化
第五章 村役人の資質形成と書籍受容の特質
第六章 日本近世における村役人の資質と文字文化
第七章 地域社会における蔵書の構造と特質―蔵書目録から地域〈知〉を読み解く
第八章 組合村文書の分割管理と文書認識―地域情報の共有と蔵書構築の基盤
第九章 近世蔵書文化論
終章 近世蔵書文化論の成果と展望
著者等紹介
工藤航平[クドウコウヘイ]
1976年神奈川県生まれ。2010年総合研究大学院大学博士後期課程修了。博士(文学)。国立歴史民俗博物館研究部歴史研究系准教授。専門は、日本近世・近代史、アーカイブズ学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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