内容説明
「地方史誌」の比較検討から世界史を描く。地方を歴史的に描く総合的書物、「地方史誌」。これらの書物は、世界的に存在し、歴史の産物として、それぞれの地域・国家のアイデンティティと強固に結びつき、伝えられてきた。「ある地方(地域)を描くこと」という人間の普遍的営みに着目し、各地域の地方史誌形成・再解釈における歴史的展開を検討・比較。地域・領域を越えて、相互の関係性を検討するための視角を提示する画期的な一書。
目次
1 地方史誌の黎明(風土記から見えるもの―古代日本における地域意識;ムスリムたちによるアラビア語地方史誌の色々;中国史上における地方志編纂の夜明け―北宋から南宋へ)
2 地方史誌の展開(「重立清浄寺記」に見るモンゴル時代泉州の多元主義;前近代のヨーロッパに「地方史誌」を探る―ルネサンス期フランドルの歴史叙述をめぐって;朝鮮近世の地方/地域と住民たち;日本近世の歴史意識;ベトナム地方誌の編纂史について―漢喃南研究院所蔵資料を中心)
3 地方史誌と近代(「地方史」の編み方、読み方、伝え方―19世紀ドイツの場合;明治前期日本の地方史誌編纂;近代中国における郷土の叙述法―江蘇南匯『二区旧五団郷志』にみる歴史意識)
4 地方史誌を考える(Books in China Databaseと中国地方志の理解と活用のための新しいアプローチ―マックス・プランク科学史研究所の地方志研究グループの活動紹介;近五年における中国方志学の研究動向;日本地方史恋研究史のこころみ―巴論文へのコメントとともに)
著者等紹介
小二田章[コニタアキラ]
1979年生まれ。早稲田大学文学学術院講師(任期付)。専門は近世中国史、宋代以降の地方志編纂、東アジアの地方史誌(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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