内容説明
古代東アジアにおいて、対外交易はごく限られた機会のものであったが、それだけに一層、各国の政治や文化の形成に大きなインパクトを与えてきた。特に日本においては、中国や朝鮮半島から伝わる最新の情報やモノは、権威の象徴としても重要な位置を占めるものであった。「モノ」「ヒト」「情報」など諸種の要素を仔細に検討することで、政治・経済・文化にわたる重層的な「対外交易」の実態と歴史的意義を照射。物質文化史・対外関係史・農業史・比較史など多角的な視点を駆使し、従来の歴史理解へ新たな観点を提示してきた著者による、長編の書き下ろしを含む最新論集。
目次
第1章 九世紀日本の情報輸入体制
第2章 帰国後の遣唐使の待遇について
第3章 唐・宋における日本蓬莱観と水銀輸入について
第4章 水銀と虎の皮―日渤関係における特産品
第5章 鑑真と香薬
第6章 遣唐使と大安寺
第7章 平安時代と唐物
第8章 平清盛と唐船
第9章 平氏政権の貿易体制
補論1 地中海文明と古代ペルシャ、そして日本の唐物
補論2 仏教東流とキリスト教の西流―東シナ海と地中海の比較
著者等紹介
フォン・ヴェアシュア,シャルロッテ[フォンヴェアシュア,シャルロッテ] [von Verschuer,Charlotte]
フランス・高等研究院歴史学部教授。専門は日本古代・中世の国際関係と物質文化の歴史。日本の経済史を対外貿易と国内生活の二面から研究している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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