内容説明
日本中世の村・浦の姿を読み解く。
目次
第1章 惣る村―機能単位組織の存在
第2章 百姓の逃亡とむらの形成
第3章 刀祢職―秦家
第4章 村の生業と人々の結びつき
第5章 住人―縁と身分
第6章 村住人の信仰
第7章 危機管理と交流
著者等紹介
蔵持重裕[クラモチシゲヒロ]
立教大学名誉教授。専門は日本中世史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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鯖
20
若狭国西津荘多烏浦という漁業・塩業を営み、わずかばかりの田と山の畠を耕して暮らす漁村には中世の歴史資料が大量に遺されている。人々がどう生きて死に、権力者とどう渡り合い、紛争を収めたかを丹念に読み解く良書。わずかに稲を盗んだ彦四郎が、村人たちが代官所に訴えない代わりに、今後村内で盗みがあり犯人がわからなかったら全部父親とおまえな権力者や外部ともめごとが起こり村から解死人(人質として出され殺される役)出さなきゃならなくなったら父親とおまえなって文書は優しいけど優しくない。雉も鳴かずば撃たれまいに。つらいなあ。2023/03/04
イツシノコヲリ
5
若狭国遠敷郡西津荘多烏浦を舞台にして、中世の村人の生活を読み解く。村の事実上のトップである秦家の古文書が現存していることで、秦家の刀祢職としての実態だけでなく、村の生業や信仰、村人の名前や身分、他地域との交流など様々なことが分かる。村には村独自のルールがあり、幕府などの上部権利も浦々の相論においては、お手上げ状態で中分にせざるおえないということが印象に残った。一般書のわりには、内容が難しく、結構細かい所まで記述されているのもあって結構重たかった。値段も税込4180円とそれなりにする。2023/07/06