内容説明
私小説は、事実でも虚構でもない。まさに、そのあわいにあって、読者を惑わす。私小説という形式から生まれた、先鋭的な小説をここに集成。
著者等紹介
秋山駿[アキヤマシュン]
文芸評論家。日本藝術院会員。『人生の検証』で第1回伊藤整文学賞評論部門、『信長』で第49回野間文芸賞および第50回毎日出版文化賞を受賞
勝又浩[カツマタヒロシ]
文芸評論家。法政大学文学部名誉教授。「我を求めて―中島敦による私小説論の試み」で第17回群像新人文学賞評論部門、『中島敦の遍歴』で第13回やまなし文学賞研究・評論部門を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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yumiha
34
対談で大江健三郎からも古井由吉からも好評だった牧野信一。その「西瓜喰う人」を読みたくて、本書をチョイス。確かにすごかった。おおっ!と思う展開だった。どっちもどっちだし、『むらさきのスカートの女』(今村夏子)を思い出すヘンな二人だった。また、「俺はNOSAKAだ」(野坂昭如)は、何度もニヤリとさせられた。野坂らしい意固地さが、事態をだんだんややこしくしていく様が可笑しい。第三者に、本人が本人である証明をするちゅうこと、ふだん何気に通り過ぎているけれど、なかなか困難なことだとも思う。 2021/10/09
saga
1
森鴎外の「魔睡」を読みたくて手に取りました。他の作品はほとんど流し読み程度。「海坊主」は印象に残りました。この二作品ぐらいであとは楽しめなかったです。2016/09/13
tatakuma
1
私小説というものの認識が変わりました。牧野信一の「西瓜喰う人」が一番面白かったです。2015/01/13
S.コーニック
0
私小説という形式によって、悪口を言うなら随分とあやふやな、希望を述べるならどうやら広い可能性を秘めた、間口を広げ得る小説の有り様が付与される、と、思わされる。そういった可能性の作品群として面白く読めた。……その感想は編者の目論見でもあるだろう。どれも面白かったが、森鴎外や吉田健一、野坂や太宰は慣れ親しんでいるので除外して、ピックアップしてパワープッシュしてハッとしてグッとしたいベスト3は、高見順「虚実」、吉屋信子「嫗の幻想」、牧野信一「西瓜喰う人」。必要とされる字句の重みを感じながら読んだ。2018/01/16
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