内容説明
「可愛らしさ」や「癒し」だけでなく、「孤独」や「女の子としての悲しみ」などさまざまな思いが込められているみすゞの詩。清らかさの向こう側に隠されているものを探り出す。女性の繊細な感情・精緻な分析で紡ぐみすゞ論。
目次
暗闇に浮かぶ「夢」
「空のかあさま」考―失われたかあさま
金子みすゞと浄瑠璃―孤児の表現
詩 みすゞさんの心さがしを
現代文学としての金子みすゞ
みすゞの詩を童画で描く
「ひとつ」の恋
金子みすゞブームに思う―「癒し」「絆」をとおして見えて来るもの
みすゞとクリスティナ・ロゼッティ―二人の近似性
気付きと許し
高貴かつ無垢なる魂の詩人―金子みすゞ
みすゞの詩の時代と風土
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mikeneko
3
金子みすゞの詩を11人の研究者が解説。大学のテキストみたいな本。その詩の背景、その時みすゞが置かれていた状況などがよく分かる。ただ学生時代から詩や文学を、「作者はこの時こんな気持ちだった」と他人が分析することは違うんじゃないかと思っていた。本当のところは作者本人じゃないと分からないんじゃないかと・・・。しかし柔らかい表現、優しい言葉でみすゞの詩は純粋に心に響く。あの3.11の日の後、覚えるほどTVで流れていた「こだまでせうか」はあの頃の心境にリンクしていた。 2013/03/05