内容説明
澁澤龍彦の年少の朋友として、その人物像と全作品に精通している稀代の碩学が、半世紀近くにわたって発表しつづけたエッセーとトークの一大集成、全5巻。
目次
1(家について;博物館について ほか)
2(空間と時間;「澁澤龍彦」が誕生するまで ほか)
3(没後七年;澁澤龍彦の書斎 ほか)
エロティシズムと旅―増補エッセー集(エロティシズムをめぐって;「血と薔薇」の周辺 ほか)
著者等紹介
巖谷國士[イワヤクニオ]
1943年、東京に生まれる。東大文学部卒・同大学院修了。仏文学者・批評家・作家・旅行家・明治学院大学名誉教授。二十歳で瀧口修造と澁澤龍彦に出会い、以来シュルレアリスムの研究と実践をつづける。十五歳年上の澁澤龍彦とは親しく交友し、唯一人の「共著者」となる。澁澤龍彦の『全集』『翻訳全集』の編集や記念展をリードし、多くのエッセーやトークを捧げてきたが、本来の活動領域も広く、文学・美術・映画・漫画の批評から紀行・博物誌・庭園論・メルヘン創作、また展覧会監修・講演・写真個展などに及ぶ(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ぐうぐう
35
『澁澤龍彦の時空』と「エロティシズムと旅」と題された三本のエッセイで構成された『澁澤龍彦論コレクション』第2巻。二十歳の時に澁澤龍彦と出会った巖谷國士の強みが、澁澤の家を巡る考察からすでに発揮されている。有名な北鎌倉の澁澤邸以前の、東勝寺橋のたもとにあった澁澤家を訪れたこともある巖谷の経験は、そのまま澁澤への理解となっているのが頼もしい。『うつろ舟』収録の「ダイダロス」に登場する一隻の船、あるいは『高丘親王航海記』の唐船が、澁澤幼年期に見た遊覧船の思い出と繋がっているといった発想や、(つづく)2023/04/17
保山ひャン
1
澁澤龍彦全集の解題や、澁澤龍彦関連本の解説的エッセーなどを集めた本。澁澤龍彦が好きで読書していたらいつのまにか巌谷さんの文章も読んでいた、という感じだが、この本一冊自体のもつオーラが半端なくて、当然のことながら、単なる寄せ集めをはるかに超えている。とくに面白かったのが増補エッセーの「エロティシズムをめぐって」で、澁澤龍彦はフーゾクにほぼ関心がなく、その種のエロをむしろ嫌っていたこと。なるほど!2018/02/12