内容説明
記録上にその名をあらわしてから一千年余、変わることなく我々を魅了し続ける『源氏物語』。前代の放射を深く取り込み、後代に長い影を落とすこの物語は、日本文学史における大いなる達成をなし、いまなお論ずべき魅力の宝庫として屹立している。文学研究の起点に立ち返り、時代・ジャンルという既存の枠組みを越えた場に『源氏物語』を開き、新たな読解の方法論・可能性を拓く。気鋭の研究者たちの視角から日本文学研究を啓発する野心的論集。
目次
1 成立・生成への視点(『源氏物語』帚木巻頭本文の解釈―「言ひ消たれたまふ咎」の指し示すもの;夕顔巻新見―女房という視点から;『源氏物語』と記紀萬葉―享受はいかに論証されたのか ほか)
2 解釈の連環・多層化(弘徽殿大后「悪后」享受史再読―源氏物語論としての注釈の位置;併存と許容の物語読解―「可随所好」を端緒として;中世における『源氏物語』の虚構観 ほか)
3 ことば・表現との対話(「をんなし」考―『源氏物語』のことばとして;『源氏物語』「初音」巻の表現―六条院の情景描写をめぐって;顔を隠す女君 ほか)
著者等紹介
岡田貴憲[オカダタカノリ]
1985年生まれ。日本学術振興会特別研究員PD(法政大学)・法政大学兼任講師。専門は平安時代の日記・物語。論文に「『源氏物語』帚木巻試論―光源氏は「なよ竹」を折ったか」(『中古文学』第97号、2016年6月。第10回中古文学会賞)などがある
桜井宏徳[サクライヒロノリ]
1976年生まれ。國學院大學兼任講師・成蹊大学非常勤講師・武蔵野大学非常勤講師。専門は平安文学(中古文学)・歴史物語。著書に『物語文学としての大鏡』(新典社、2009年)、論文に「宇治十帖の中務宮―今上帝の皇子たちの任官をめぐって」(『中古文学』第93号、2014年5月。第8回中古文学会賞)などがある
須藤圭[スドウケイ]
1984年生まれ。立命館大学助教。専門は日本古典文学・地域文化学。著書に『狭衣物語 受容の研究』(新典社、2013年。第3回池田亀鑑賞)などがある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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Ayako Moroi