内容説明
昭和十年代の批評界を領導し、数多くの支持者を得た希代の評論家・保田與重郎。近代および戦時の日本に生きた彼は何故、「古典」という装置を選び、その思想の中心に置くことを選んだのか。彼の思想の形成期を丹念に追うことで、その背景にある近代・日本・古典の三辣みの構造を読み解き、保田の営みを時代のなかに定位する。
目次
序章―なぜいま保田與重郎か
第1章 保田與重郎の出発
第2章 ドイツ・ロマン主義との邂逅
第3章 日本古典論の展開
第4章 ゲーテ・近代・古典
第5章 古典論と文学史の確立―後鳥羽院
著者等紹介
前田雅之[マエダマサユキ]
1954年生まれ。明星大学人文学部教授。専門は古典学。主な著書『「国文学」の明治二十三年一国学・国文学・井上毅』(共編著『幕末明治 移行期の思想と文化』勉性出版、2016年)、「天竺人の系譜―婆羅門僧正から天竺冠者まで(小峯和明編『東アジアの仏伝文学』勉性出版、2017年)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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志村真幸
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著者は日本古典学の研究者。 保田與重郎は、戦前の日本で大きな影響をもった批評家。しかし、若者たちを戦場へ駆り立てたとして、戦後は批判と無視へと評価が一変した。 保田の30歳までの仕事が俎上に載せられている。小説「やぽん・まるち」、評論『英雄都市人』『日本の橋』『後鳥羽院』などの解析を通して、再評価が試みられている。 そのなかで保田の独特の日本文学史が見えてくる。ただ、やはりもう少し先まで扱ってもらわないと、保田の全体像は見えてこないし、どこまで説得的な議論なのかも判断が付かないように思う。2018/09/04