内容説明
著者の切り拓いた歌垣論の集大成。日本古代の歌垣関連記事の分析、旧来の歌垣論の再検討、最新段階の歌垣論への進化など幅広く「歌垣」を掘り下げた一冊。附録として、1995年に著者が直接現地(中国雲南省ペー族居住地域)に赴き、約1時間20分にわたる自然な歌垣の映像・音声をDVD化。「歌垣」とは、若い男女が集まり、相互に求愛の歌謡を掛け合う習俗。古代日本の常陸国筑波山などにおいて、歌垣の風習が存在したことが『万葉集』『風土記』にみえる。
目次
序章 歌垣像への道
第1章 日本古代の歌垣関係記事
第2章 旧来の歌垣論の再検討
第3章 歌垣論はどのように進化してきたのか
第4章 現場の歌垣から立ち上がる新しい歌垣像
第5章 「踏歌」と「歌垣」の混用の時代
第6章 葬送と歌垣―遊部・〓(か)歌の問題
著者等紹介
工藤隆[クドウタカシ]
1942年栃木県生まれ。1966年東京大学経済学部経済学科卒業。同年早稲田大学大学院文学研究科(演劇専修)修士課程入学、1968年同卒業。同年同博士課程入学、1978年同博士課程単位取得修了。演劇学の研究を経て沖縄を含む日本国内の祭式・民俗芸能調査に進み、1994年からは中国などアジアの少数民族文化の本格的な実地調査を開始し、『古事記』など日本古代文学研究に新しい視点を提示しつつある。中国雲南省雲南民族学院・雲南省民族研究所客員研究員(1995.4~1996.3)。大東文化大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Mako
0
歌垣という行事が古代日本に存在していたことは以前から知っていたが、具体的にどういう感じなのかずっとイメージできないでいた。アジアの少数民族の中に、比較的最近まで残っていた、歌垣を実際に現地調査したうえで、日本文学研究にフィードバックするという、筆者の歌垣へのアプローチに興味があり、この本を手にとった。結果、歌垣の実像に近づくだけでなく、大学時代に習った古事記の解釈が、古代の感覚的なものの表現というよりはもっと統制された何かの気がする、という違和感まで含めて解決してもらった感覚があり、大満足。2023/04/10
-
- 和書
- 神戸上等なディナー