内容説明
西洋近代の草創期、ヨーロッパを中心に多大な影響力を揮ったイギリス・ロマン派の詩人バイロン。そのバイロンを近代日本がいかに受容してきたのか―。「近代」という問題に鋭敏な意識を持っていた文学者・思想家たちの「バイロン熱」のありようを通して、近代日本の精神史を描く。
目次
第1章 明治前期におけるバイロン熱の内攻―北村透谷の死まで(「厭世詩家」バイロンの誕生;人生相渉論争におけるバイロンの影;北村透谷の自由民権的バイロン熱)
第2章 内なるバイロニック・ヒーローとの戦い―北村透谷を中心に(『楚囚之詩』における『シヨンの囚人』受容とその射程;『蓬莱曲』における『マンフレッド』受容とその射程;「心機妙變」論における『マンフレッド』受容とその射程)
第3章 『文學界』同人におけるバイロン熱の運命―北村透谷の死をこえて(「暗潮」としてのバイロン熱をめぐる葛藤;島崎藤村によるバイロンの「大洋の歌」の変奏)
第4章 バイロン熱の退潮と再度の高潮―明治中期から昭和期まで(日清戦争期から日露戦争期にかけてのバイロン熱;バイロンの退場と再登場;バイロニズムから「近代の超克」へ)
終章 バイロン熱の系譜―一つの近代日本精神史として
著者等紹介
菊池有希[キクチユウキ]
1978年、宇都宮生まれ。2001年、東京大学文学部仏文科卒業。2011年、東京大学大学院比較文学比較文化博士課程修了。博士(学術)号取得。現在、都留文科大学文学部国文学科講師。専門は比較文学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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