内容説明
村長の息子である「ぼく」やんちゃな洟たれ小僧「タルペ」お姉さん肌のしっかりもの「セルドン」化身ラマとなった「ニマ・トンドゥプ」チベットの村で生まれ育った4人の子供たちの成長と挫折、そして再生の物語を描く、新しい世代による現代小説!
著者等紹介
ラシャムジャ[ラシャムジャ]
拉先加。1977年、チベットのアムド地方ティカ(中国青海省海南チベット族自治州貴徳県)生まれ。北京の中央民族大学にてチベット学を修め、現在は北京の中国チベット学研究センターの宗教学部門の研究員としてチベツト仏教に関する研究を進めるかたわら、チベット語の小説を雑誌等に発表している。チベット語文芸雑誌『ダンチャル』の主催する文学賞を過去に3回受賞(うち1回は新人賞、3回受賞は著名な作家タクブンジャと並んで最多)、2012年には中国の民族文学母語作家賞を受賞
星泉[ホシイズミ]
1967年生まれ。東京大学大学院人文社会研究科博士課程修了、博士(文学)。現在、東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所・准教授。専門はチベット語・チベット文学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
キクチカ いいわけなんぞ、ござんせん
22
チベットの小さな村に住む4人の子ども時代と大人になってからまで。 夢のような子ども時代の村の生活と、大人になってからのうまくいかなかったり罪悪感のようなものを引きずる生活について。大人になってからの世界はほろ苦くて自分はゴミのように小さい。これは全ての人が感じるように思える。そのほろ苦さに名前があるなら成長痛とか地獄を見るとかそんな感じ。面白かった。2024/07/07
慧の本箱
17
ツェワン・イシェ・ペンバ著『白い鶴よ 翼を貸しておくれ』に続いて手にした本書です。文化大革命が終結して、改革開放政策が進められる時代の大きなうねりの中チベットの山村にも徐々にその影響がヒタヒタと忍び寄ってきます。そんな足音も気にしないまま走り回っていた子供時代を前編に。後編は都会に出て故郷にも都会にもどちらにも居場所を見付けられない主人公の苦悩が綴られます。2022/08/15
ちゃっぴー
15
チベットの山村の幼なじみ4人組。半農半牧の生活の様子や4人組の童心が牧歌的でどこか懐かしく思う。それぞれの事情で都会へ出る者、故郷へ残る者。チベットの近代化が進む中、葛藤苦悩する。雪の降らない都会で故郷の雪を待つ。郷愁の想いが切ない。2024/04/24
だてこ
12
チベット出身の作家さんの小説。面白かった。チベットの半農半牧の村に生まれた子供たちの1980年代と2000年代の物語。その20年は学校ができ電気が通り文化的に大きな変化のある時代。その時代に合わせて成長していった子供たちの人生がとてもリアルに描かれている。文明によって生活は便利になったけれども、それによって失われてしまったものも多い。それをこの小説では故郷の風景になぞらえているけれども、もう少し大きな枠で捉えると“心の拠り所”なのかもしれないなと思った。2023/05/14
しいらでかんす
9
毎年雪の季節に降ることのない都会の雪を待つ主人公の故郷への思いが、作品全編にリフレインのように響いている。じわり心にしみてくる作品です。名作です。翻訳もすばらしい。チベット現代文学最初に読むならこの作品です!2015/04/26