内容説明
弥生土器に描かれた線刻画、鏡の文様にみる想像上の動物たち、瓦に造形された鬼や幾何学模様―考古学・民俗学が研究対象とする遺物や遺跡、儀礼や祭礼の世界には怪異・妖怪現象を探る素材があふれている。2つの分野の研究を駆使し怪異の世界を掘り下げていく新たな挑戦!
目次
「モノと図像から探る怪異・妖怪の世界」へ、ようこそ
特別寄稿 「怪異」概念をめぐる覚え書き
怪異のイメージを追って―うぶめと天狗を中心に
大蛇と法螺貝と天変地異
特別寄稿 古墳から妖怪はあらわれない。けれど―ふたつの学問をつなぐために
弥生絵画を絵解きする
万里の長城を越える怪獣
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
月をみるもの
9
天理参考館での展示に圧倒されたのがきっかけとなって読んでみた。妖怪の存在は、世界を『合理的』なものとして解釈しようとした結果であるというメッセージが京極シリーズに通底している。2022/11/06
さとうはな
1
最初に出てくる妖怪が「うぶめ」って。編者の専門性からしたら当然の選択なのかもしれないけれど、姑獲鳥って妖怪としてはメジャーなの?京極作品読むまで知らなかった名前なんだけど、妖怪ファンの中ではメジャーなのか・・・?死生観・宗教観というのは人類史のかなり早い段階から発生しているんだなぁ、って思うと、現代日本における宗教観の在り様の方が違和感があるな。2017/06/01
四不人
1
「古墳から妖怪は現れない」という化野さんの述懐が面白い。妖怪研究は流行りなんだなあ。いいことなんだけど、ほとんどの人が「妖怪はフィクションだけど面白い」という立ち位置なんだよな。水木さんの後継者となるような幻視者は出てこないのかなあ。2015/07/12
犬養三千代
0
天理大学 妖怪ツアー無いかなぁ⁉2017/02/01
きーよ
0
古代から有史にかけて先人達が残した形のある物や図像には現代人にとって不可解で奇妙な物が多く残されている。今でこそ、科学がその秘密を解き明かしたが先人達には大いなる恐れ(人以外の力)を感じ、極めて真面目で真剣に物や画像にして記録として残した。例えば火山の溶岩流やガスで出来た空洞や堆積物(奇怪な洞窟や奇岩)に神や悪魔の手を見ている。福島原発の廃炉など、何千年も後の人類は何と思うだろう。大真面目にそんなものを集め、謎解きをしている民俗学、研究者には申し訳ないが楽しそうである。2015/06/04