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内容説明
自然なるものはどのように理解され、あらわされ、再生産されてきたのか―前近代の日本において、和漢の文化体系は、各時代ごとの変容・刷新を経つつも、思考・感性の基盤として通奏低音のごとく響き続けた。特に漢文化は先例としての規範性から大きな影響を有し、和文化のなかで融合・内在化・再解釈されていった。それは、人びとが、自らを取りまく環境、自然をどのように感じ、捉え、表象したのか、ということにも強く作用した。列島における社会構造的・環境的転換期である十六~七世紀に着目し、文学、美術、芸能、歴史学等、分野横断的な視角から、自然と人との関係を問い直す。
目次
1 「内在化」のかたち(室内時代における「漢」の「自然表象」;二十四孝図と四季表象―大舜図の「耕春」を中心に;日光東照宮の人物彫刻と中国故事;江戸狩野派における雪舟山水画様式の伝播―狩野探幽「雪舟山水図巻」について;四天王寺絵堂《聖徳太子絵伝》の画中に潜む曲水宴図;モノと知識の集散―十六世紀から十七世紀へ)
2 コード化された自然(「九相詩絵巻」の自然表象―死体をめぐる漢詩と和歌;『源氏物語』幻巻の四季と浦島伝説―亀比売としての紫の上;歌枕の再編と回帰―「都」が描かれるとき;十七世紀の語り物にみえる自然表象―道行とその絵画を手がかり;寛政期の京都近郊臥遊)
3 人ならざるものと交感(人ならざるものとの交感;金春弾竹と自然表象;「人臭い」話資料稿―異界は厳しい;お伽草子擬人物における異類と人間との関係性―相互不干渉の不文律をめぐって;室町物語と玄宗皇帝絵―『付喪神絵巻』を起点として;エコクリティシズムと日本古典文学研究のあいだ―石牟礼道子の“かたり”から)