内容説明
終戦から中華人民共和国成立にいたる上海の戦後は、これまで、日本の敗戦に始まり、国民政府軍による上海接収、日本人の引揚げ、漢奸裁判、国共内戦の勃発、国民党の弾圧と腐敗、国民党政権の崩壊として叙述されてきた。本書はいわばそうした政治史の通史としてではなく、上海の“戦後”を体験した人びとの“模索”、“越境”、“記憶”という切り口から戦後の上海像を提示し、その多様性に注目した新たな歴史像を提示する。
目次
はじめに―戦後上海への招待
第1部 人びとの“模索”(対日協力者の戦後―日本亡命者盛毓度と留園;過去を背負って生きる―二人の「文化漢奸」;民族資本家の一九四九年―劉鴻生一族の選択 ほか)
第2部 “越境”の軌跡(戦後上海の欧米人社会―一九四六年の英字紙紙面から;上海ユダヤ人の戦後―「待合室」上海から、「目的地」アメリカへ;上海から京都へ―「高博愛」(Charles Grosbois)の戦後 ほか)
第3部 “記憶”の再編(堀田善衞と敗戦期上海日本文化人の「中国」表現―日記・雑誌・作品;堀田善衞をめぐる敗戦前後の上海人脈;上海ノスタルジーのゆらぎ―武田泰淳『上海の蛍』における回想の方法 ほか)
著者等紹介
〓綱博文[タカツナヒロフミ]
日本大学教授。専門は中国近現代史、上海史
木田隆文[キダタカフミ]
奈良大学文学部教授。専門は日本近代文学
堀井弘一郎[ホリイコウイチロウ]
日本大学非常勤講師。専門は日中関係史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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