出版社内容情報
インドで撰述され、日本には漢訳された文献として伝来した『法華経』は、日本独自の展開をみせ、多方面で日本文化に深く関わりを持った。
芸能や儀礼、説話や和歌のなかに融け込み、さまざまな書写形態や音声によって伝えられ、絵画や一石経、絵経などに姿を変えながら浸透していった日本古典としての「法華経」の諸相を多角的に論じる。
はじめに―日本の典籍としての『法華経』 浅田徹
? 日本に融け込む『法華経』
『法華経』と芸能の結びつき―聖徳太子伝・琵琶法師・延年 石井公成
法華経と和歌 山本章博
〈法華経儀礼〉の世界―平安時代の法華講会を中心に 舩田淳一
和化する法華経―『本朝法華験記』の表現と発想 馬駿
ベトナムと日本における法華経信仰―古典から探る グエン・ティ・オワイン
? 日本の典籍としての『法華経』
書写と読誦―法華経の文字と声 浅田徹
日本漢字音史から見た法華経 肥爪周二
法華経と読経道―芸道としての法華経読誦 柴佳世乃
仮名書き経典について―伝西行筆法華経化城喩品切をめぐって 小島孝之
『日本霊異記』における『法華経』語句の利用 河野貴美子
? 『法華経』のかたち
長松山本法寺蔵「法華経曼荼羅図」に見る
前代からの継承と新奇性 原口志津子
物語絵の上に書写された『法華経』 稲本万里子
経塚に埋納された法華経 時枝務
南部絵経―文字の読めないものたちの『法華経』信仰 渡辺章悟
浅田徹[アサダ トオル]
お茶の水女子大学教授。専門は和歌史・歌学史。
著書、論文に、『百首歌―祈りと象徴』(臨川書店、1999年)、『シリーズ 和歌をひらく』(共編書、全五巻、岩波書店、2005?6年)、「和歌と祈り―源氏供養・法門百首・宝物集など」(『平安朝文学研究』復刊二〇号、2012年)などがある。
内容説明
インドで撰述され、日本には漢訳された文献として伝来した『法華経』は、日本独自の展開をみせ、多方面で日本文化に深く関わりを持った。芸能や儀礼、説話や和歌のなかに融け込み、さまざまな書写形態や音声によって伝えられ、絵画や一石経、絵経などに姿を変えながら浸透していった日本古典としての「法華経」の諸相を多角的に論じる。
目次
はじめに―日本の典籍としての『法華経』
1 日本に融け込む『法華経』(『法華経』と芸能の結びつき―聖徳太子伝・琵琶法師・延年;法華経と和歌;“法華経儀礼”の世界―平安時代の法華講会を中心に;和化する法華経―『本朝法華験記』の表現と発想;ベトナムと日本における法華経信仰―古典から探る)
2 日本の典籍としての『法華経』(書写と読誦―法華経の文字と声;日本漢字音史から見た法華経;法華経と読経道―芸道としての法華経読誦;仮名書き経典について―伝西行筆法華経化城喩品切をめぐって;『日本霊異記』における『法華経』語句の利用)
3 『法華経』のかたち(長松山本法寺蔵「法華経曼茶羅図」に見る前代からの継承と新奇性;物語絵の上に書写された『法華経』;経塚に埋納された法華経;南部絵経―文字の読めないものたちの『法華経』信仰)