内容説明
旅は非日常的な移動であり、時空間の差異と同時に精神意識に大きな変化をもたらす。古典および近現代の文学、メディア、宗教、芸術など、様々な領域にみられる旅の表象について横断的に検証し、東アジアの文化交流史の一端を浮き彫りにする。
目次
1 古典文学と旅の表象(天竺をめざした人々―異文化交流の文学史・求法と巡礼;日本古典文芸にみる玄奘三蔵の渡天説話;悪龍伝説の旅―『大唐西域記』と『弁暁説草』 ほか)
2 旅の近代文学の生成(蘭学から英学へ―遊学の町長崎から考える;明治期における日本人の中国紀行及びその文献;「旅愁」―抒情の一九〇〇年代から一九三〇年代へ ほか)
3 近代文学者と旅の表象(明治人が見た東アジア情勢―森田思軒は『北清戦記』をどうTRACEしたか;阿部知二における中国旅行と文学の表象;島尾敏雄、火野葦平における戦時下南島の「女への旅」―「女護が島」幻想と「へんなあひるの子」 ほか)