内容説明
唐やウイグルの衰退後、10世紀初頭に建国された草原の王朝「契丹」。果たしてその実態はいかなるものであったのか―近年の石刻資料・出土資料の整備、文字資料解読の進歩により、飛躍的に進展しつつある契丹「遼」研究の到達点を示し、国際関係、社会・文化、新出資料、そして後代への影響という四本の柱から契丹「遼」の世界史上の位置づけを多角的に解明する。
目次
1 契丹「遼」とその国際関係(十~十二世紀における契丹の興亡とユーラシア東方の国際情勢;世界史の中で契丹「遼」史をいかに位置づけるか―いくつかの可能性 ほか)
2 契丹「遼」の社会・文化(遼帝国の出版文化と東アジア;草海の仏教王国―石刻・仏塔文物に見る契丹の仏教 ほか)
3 契丹研究の新展開―近年の新出資料から(最新の研究からわかる契丹文字の姿;中国新出の契丹文字史料 ほか)
4 その後の契丹「遼」(遼の“漢人”遺民のその後;明代小説にみえる契丹―楊家将演義から ほか)
感想・レビュー
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(k・o・n)b
4
「遼の歴史なんか面白そう〜」レベルの門外漢が読める代物ではなかったので、理解できそう&面白そうなトピックだけつまみ食いした。国際関係分野では、遼も中原王朝の1つと数え五代十国ではなく「六代数国」として解釈する話や、澶淵の盟の「対等的」という評価を原文の文言の使い方から検証する論考が印象に残った。素人歴史ファンからすると、契丹文字の話も未解読というミステリアスさで惹かれる。擬似漢字の大字、ハングルのように複数の構成要素から成る小字の2つが使われていたが、両者は同一の史料には登場せず、使い分けの規則も不明。→2024/02/01