内容説明
石庭・水墨画・わび・さび…といったキーワードに象徴・集約され、固定的イメージの中で無批判に受容/利用されてきた「禅」。果たして古代中世の日本人は、異国の先端文化・思想である「禅」をどのように受容・咀嚼していたのか。当時の国際的・多義的・重層的な社会・文化状況において、「禅」は、いかなる影響・衝撃をもたらしたのか。史学・美術史・文学・書誌学・仏教学の先端研究から、東アジア文化接触の多面性を明らかにする。
目次
日本の禅宗にとっての中国四川省
臨済宗の伝灯と文化
唐僧義空の来日
達磨宗の展開と禅籍開版
鎌倉期の禅宗の坐禅について
『仏法大明録』と『真心要決』―『沙石集』『従然草』の禅宗的環境をめぐって
北条得宗家の禅宗信仰をめぐって―時頼・時宗を中心に
虚堂智愚から南浦紹明へ
等持院・真如寺と足利氏
足利義満の内なる宋朝皇帝―京都相国寺と開封大相国寺〔ほか〕