内容説明
東アジアにおける金属工芸は、金・銀・銅という材質を用いることから多様な付加価値をもつことになり、宗教や美術、そして政治などと密接に関わりつつ、各地域の相互交流のなかで重要な位置を占めてきた。それら金工品等の比較研究に加え、各種工芸・絵画作品、文献史料の読み解きから、造形・意匠の伝播や展開、「モノ」としての意味や機能を明らかにすることで、東アジアにおける相互文化交流の諸相を立体的に浮かび上がらせる。
目次
十世紀の鏡の一様相―中国・呉越国の線刻鏡について
銭弘俶八万四千塔をめぐる現状と課題
中国阿育王塔舎利器の受容―東国大博物館所蔵の石造阿育王塔を中心に
寂照入宋と摂関期仏教の転換
唐宋時代の越窯と金銀器―線刻装飾を施した呉越国「秘色窯」の青磁
中世の漆工にみる金属器の影響―無文漆器と銀器を中心に
高麗時代金属托盞の系譜と特徴
中国南方地域における宋・元期の倣古青銅器
宋・元画のなかの器物表現―画中の古物表現とその意味を中心に
中世日本における倣古銅器の受用と模倣―唐物意識の内実
中世史料研究と唐物の受容―同朋衆と唐物
文献史料からみた古琉球の金工品―武器・武具の分析を中心に
(総括と展望)東アジアをめぐる金属工芸―中国、朝鮮、日本そして琉球
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