内容説明
福岡県志賀島出土とされる「漢委奴国王」の金印は本物か偽物か?「多賀城碑」は、江戸時代初期の偽造物である!国宝や重要文化財への真贋の疑惑。真実をどこまで追いつめることができるか。
目次
第1部 奴国の滅亡と邪馬台国の勃興―「漢委奴国王」金印は、ほんものなのか(金印の語るもの―なぜ、そこから出たのか;二つの金印をめぐる真贋論争―偽作者たちの影;「漢委奴国王」は、なんと読むか―「漢の委の奴国王」と読むのは、妥当である ほか)
第2部 重要文化財「多賀城碑」は、江戸時代初期の偽造物である―奈良時代資料にあらわれない字体の文字が使用されている(芭蕉が元禄二年(一六八九)に訪れている
文字を比べると、真作説は有利にならない
「此」という字 ほか)
第3部 三つの贋作騒動―広重『東海道五捨参次』の原画・三角寛のサンカ研究・『東日流外三郡誌』(歌川(安藤)広重『東海道五捨三次』原画発見事件
サンカ小説家・三角寛、ドクター論文を創作
『東日流外三郡誌』事件)
著者等紹介
安本美典[ヤスモトビテン]
1934年、中国東北(旧満洲)生まれ。京都大学文学部卒業。文学博士。産業能率大学教授を経て、現在、古代史研究に専念。『季刊邪馬台国』共同編集者。情報考古学会会員。専攻は、日本古代史、数理歴史学、数理文献学、数理言語学、文章心理学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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軍縮地球市民shinshin
5
福岡県志賀島で江戸中期に出土した「漢委奴国王」印と、宮城県多賀城市にある「多賀城碑」の真贋についての著者の論考を収めた一冊。どちらも後世の偽造説があり、特に金印については数年前に国文学者の三浦佑之氏が『金印偽造事件』という本を出して一般にも知られるようになった。結論から言えば、著者は金印は本物、多賀城碑は江戸初期の偽造としている。多賀城碑の方は興味があるのだが、文字の比較から奈良期のものではなさそうな気がした。でも決定打にかけている。最後に確率論になってしまうのは著者の専門性の故か。つづく。2015/11/23
おおい
0
実読は、角川文庫版明石散人の七つの金印、完全版。 このサイト内では出てこないので、ここに代用記録。本作はどこまで実話でどこが虚作なのか。2023/09/24