内容説明
醍醐寺は、平安時代の創建より今に至るまで、人々の祈りや信仰を背景に、文化財を守り、伝え続けてきた。その醍醐寺に伝わる「醍醐寺文書聖教」は、仏教のみならず、政治・経済・芸能等の分野にわたって、日本の歴史・文化を伝える一級の史料として、平成二十五年、六万九千三百七十八点が国宝に指定された。国内最多級の「紙の文化」の保存・伝承に尽力した人々の営みはいかなるものであったのか。どのような理念の元で、総合的な文化財調査が行われてきたのか。百年に及ぶ調査・研究の営みを振り返り、これからの文化財の保存と活用について提言する。
目次
1 醍醐寺の文化財と調査の進展(醍醐寺の文化財と文化財研究所;黒板勝美先生と醍醐寺古文書調査―附醍醐の花見・黒板勝美先生の筆跡;寶月圭吾先生 ほか)
2 文化財調査としての展開(古文書調査の方法;古文書調査から文化財総合調査へ;古文書・聖教 ほか)
3 回想文化財調査(齊藤明道師―附明道語録抄;弥永貞三、笠原一男先生の思い出;田中稔先生と奈良文化財研究所の調査 ほか)
4 古文書調査年譜・百年の署名簿