内容説明
中世日本においてアジアへの窓口であり、アジアにおける日本への窓口でもあった博多。アジアの海商が来航する博多での貿易活動は、民間取引や国家外交など、多様で広範な国際交流のなかで展開されていた。また、博多で展開する宗教勢力は、こうした国際交流と密接不可分の状況で展開し、その影響はネットワークを通じて広く列島の各所にも及んでいた。中世の博多をもっとも特徴付ける要素である「貿易」と「宗教」という視角から俯瞰的に考察し、中世日本最大の国際貿易港であり、東アジア海域有数の港湾都市であった博多の実像に迫る。国際交流史、都市史、流通史、宗教史を架橋する新知見を提示。
目次
中世博多研究の潮流
第1部 貿易都市博多(港町複合体としての中世博多湾;中世博多の海商と海の道―南島路をめぐって;日朝関係における偽使の時代―博多商人の視角から;中世後期の博多とアジア)
第2部 宗教都市博多(宗教都市博多の中世―寺社を中心として;博多と鎌倉―鎌倉時代の日本禅宗界;首羅山・油山と東アジア;中世の崇福寺をめぐって;博多正福寺と臨済宗幻住派)
第3部 博多の史料研究(聖福寺古図と承天寺古図―描かれた戦国時代の博多;湖心碩鼎『頤賢録』について)
アジアのなかの港市博多
史料編 湖心碩鼎『頤賢録』
著者等紹介
伊藤幸司[イトウコウジ]
1970年岐阜県生まれ。九州大学大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(文学)。九州大学大学院比較社会文化研究院教授。専門は日本中世史・東アジア交流史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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