内容説明
近代における諸学問の形成の時期に在野にありながら数多くの論考を展開した南方熊楠。その論考の多くには、文学作品が資料として使われており、そこには今日でも通用する見解が散見される。熊楠が研究の基礎とした近世随筆・説話集、お伽草子や近世怪談などの資料群を精査し、近代前期における人文学の展開の中に位置付け、看過されてきたアイディア、研究のオリジナリティを発掘することにより、これからの日本文学研究の可能性を提示する。熊楠自筆『熊野の本地』・「横山重書簡」・「横山重寄贈本書入れ」・南方熊楠顕彰館所蔵『絵巻物断簡』などの貴重資料の翻刻も多数収録。
目次
序論 南方熊楠と日本文学
第1部 古代・中世文学の受容(南方熊楠の文学史的認識;横山重と南方熊楠―お伽草子資料をめぐって;南方熊楠書写『熊野の本地』の性格 ほか)
第2部 近世文学の受容(南方熊楠の妖怪研究と近世説話資料;南方熊楠と近世期翻案系怪談;南方熊楠と『甲子夜話』 ほか)
第3部 資料編(高須本『熊野縁起』;横山重書簡・翻字資料;横山重寄贈本書入れ ほか)
著者等紹介
伊藤慎吾[イトウシンゴ]
国際日本文化研究センター・客員准教授。学術博士(埼玉大学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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