内容説明
「国軍未曾有の不祥事にして、斯くの如き敗戦は、国軍の未だ嘗て経験せざるところなり」関東軍といえば日本陸軍の精華で、優秀な将校が綺羅星のごとく揃っていた。関東軍にあらざれば日本軍人にあらず、とまで自負していた。その関東軍がなぜ敗北を喫したか。しかも宿敵として研究を重ねてきたソ連軍を相手にして。
目次
1 ノモンハン事件は戦争へと拡大した
2 日本とソ連の宿命の対立
3 昭和の陸軍の対ソ準備
4 ハルハ河での戦い勃発と展開
5 なぜ参謀本部と関東軍の対立が生じたのか
6 激変する世界情勢と日本外交
7 日本陸軍の敗因はどこにあったのか
8 ノモンハンの戦闘は何をもたらしたか
首脳たちの戦後の軌跡
著者等紹介
阿羅健一[アラケンイチ]
昭和19年、仙台生まれ。東北大学文学部卒業。会社員を経て、昭和57年の教科書誤報事件をきっかけに南京事件の調査を始める。月刊誌「正論」に調査を執筆し、その後、近現代史の研究まで広める。現在、南京戦の真実を追及する会・会長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ネコ虎
13
ノモンハン戦の推移や敗因を述べるよりも関東軍と参謀本部の確執を中心に描いている。企業における現場と本社の相克にも通ずる。単に辻政信の暴走がーという評論に終わらず考えさせる。この事件で読み手は関東軍の暴走と決めてかかってしまうが、自分が現場の当事者だったらどう行動するかを考えると見え方も異なってくる。中央集権か分権かに一般化できるが、どちらかが絶対に正しいとはいえない。ノモンハン戦は現場が悪いというなら、ガダルカナルや硫黄島の戦いは中央の指揮に問題があったのではなかったか。そういうことを考えさせる書だった。2019/11/17
templecity
9
ノモンハンはある意味関東軍の暴走であり、政府による統帥権が働いていない。日本軍の初めての本格的な敗戦であった。軍備の数量でもソ連が圧倒していた。パイロットの数も多い。戦車の装甲も厚い。弾薬の数も圧倒。精神力は最も強いと言われた日本軍でも、これだけ数量が圧倒されていては勝てない。三国同盟を結んだドイツも日本のことは余り気にしていなかった。独ソ中立条約を結んでソ連の目を東アジアに向けさせた。(続きあり) 2019/10/07