内容説明
皇道派の決起失敗により、反戦勢力は根絶やしになり、抗争に勝利した統制派が軍国ファシズムを完成させて、日中戦争に踏み込み、太平洋戦争へ突入する。
目次
第1章 第一次世界大戦と日本陸軍
第2章 ワシントン体制という国際協調下で政党政治が進展
第3章 満州事変不拡大に務めた陸軍の宇垣派と皇道派
第4章 親英米外交を排撃した外務省興亜派の台頭
第5章 陸軍四派閥の興亡
第6章 皇道派は日露戦争以来の伝統派閥
第7章 皇道派と統制派の抗争
第8章 二・二六事件における統制派の完勝
著者等紹介
鈴木荘一[スズキソウイチ]
近代史研究家。昭和23年生まれ。昭和46年東京大学経済学部卒業後、日本興業銀行にて審査、産業調査、融資、資金業務などに携わる。とくに企業審査、経済・産業調査に詳しく、その的確な分析力には定評がある。平成13年日本興業銀行を退社し、以後歴史研究に専念、「幕末史を見直す会」代表として、現代政治経済と歴史の融合的な研究や執筆活動などを行っている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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yamatoshiuruhashi
39
従来の事件の解釈である二・二六事件は皇道派と統制派という陸軍内部派閥の抗争結果だということには異は唱えていない。然し皇道派は明治日本の外交基調であった対欧(特に英)協調路線の下でソ連一国だけを仮想敵国と考えた系譜であるに対し、統制派は永田鉄山を初めとしてドイツとともに全世界を相手に総力戦を唱える系譜であるとした前提で論が進められる。元老として昭和初期まで生きた山縣有朋の老害に大正昭和の外交は毒され、その起点は長州戦争であった。個別の事実は真実であるかもしれないがそれによる論理構成は非常に独特である。2020/03/25
金吾
28
皇道派を善玉とした立場からの226事件観です。私は史実においてどちらかが絶対正しいということはほぼないと考えていますので違和感はありますが、片寄ることにより理解できる部分もありましたので読み物としては楽しめました。2024/06/02
金吾
7
読み物としては面白いですが、皇道派を善玉、統制派を悪玉と完全に切り分けるように、やや自分の考えに拘泥しすぎているように感じました。2020/03/06
くらーく
4
そうなのかな?確かに東條英機は、統制派だろうけど。松本清張の昭和史発掘シリーズを読んでいると、どうも皇道派が反戦勢力には思えないけど。感情優先の上官と原理主義の若手士官の皇道派の自爆にしか思えないのだがなあ。 結果的には、皇道派は、ニ・ニ六後に解消したけどね、実質。 時代っちゃ時代なんだろうけど。まあ、こういう意見もあるって事も知って、また松本清張を読みますか。なかなか進まないけど。2023/03/19
NoDurians
0
多数意見と違う意見を提示するときには、十分な史料が必要だと思うが、それが足りないように感じた。2022/09/20